任天堂の業績をご覧ください。過去最高の成績をあげたのが、09/3期でした。任天堂の月足チャートを見てみましょう。上場来高値を付けたのは、なんと2007年11月でした。09/3期というと、2008年４月から2009年３月までのことですが、それより半年近く前に高値をつけています。もし、「業績が好調なら、その間の株価も上がる」の理論が成立するなら、2008年４月から2009年３月にかけて高値をつけていなければならないはずです。つまり、このケースでは先に述べた理論は成立しないのです。
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どうしてこのようなことが起こるのでしょうか。株価は、将来を先読みしている投資家の行動そのものです。そのため、投資家が「これ以上業績が伸びない」と判断すると、企業が業績を発表する前に、投資家の売りで株価が現実より先に動きだすケースがあるのです。決算発表で「過去最高益」といわれているにも関わらず、株価がどんどん下落する銘柄があるのはこのためなのです。
2007年当時を振り返って考えてみましょう。当時は、最新のゲームが品薄状態でした。そして株価も５年ほど上昇し続けました。ですから2007年秋・冬も「まだまだ上がるだろう。この押し目を買おう！」と、思われた方もいらっしゃるでしょう。しかし、少し冷静にチャートをご覧ください。GCVを基本周期（12カ月）で表示した月足チャートを見ると、2007年12月にGCVがデッドクロスをしています。指標は「高値圏」と判定しているのです。長期足のピークアウトですから、買い手は注意が必要です。この時、目先は「押し目」と捉えるにしても、長期のチャートでは「高値圏だから警戒」とメッセージが示されていたと考えるのが正しかったのです。もし、業績だけを判断基準にしていたら、来期が過去最高の業績だという見通しでしたから「積極的に買う」という判断になってしまったことでしょう。
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投資には、冷静に分析する目が必要です。実は、その役目を担うのが、テクニカル指標なのです。今のような株価が小さなレンジで上下を繰り返す時代に、テクニカル分析に基づいた売買手法を用いるのは理にかなった投資手法といえるのです。
(2011/1/21更新)