■ペアトレード
連動性の高い2つの銘柄の売りと買いを組み合わせた両建てポジションを取り、2銘柄間の拡大した株価格差(スプレッド)の縮小を狙うことで利益を得る――これがペアトレードです。具体的には2つの銘柄の価格差に着目し、スプレッドが平均スプレッドより大きくカイ離している時に、割高な方を売り建て、割安な方を買い建てます。その後、2銘柄のスプレッドが平均スプレッドに向かって縮まった時、あるいは逆に大きくカイ離した時に、2銘柄を同時に反対売買し(手仕舞い)し、利益を確定します。




個別銘柄の投資パフォーマンスにおいて、マーケットタイミングは重要なウエイトを占めます。業績の良い割安株に投資していても、マーケット全体が暴落に見舞われると、連れ安して大きな損を出してしまうことも多くあります。マーケット全体の動きを意識することなく投資して、利益を得る方法はないか・・・・・・こうしたニーズに応えるのがペアトレードです。

同ペアトレードは、売り買いの2銘柄を5ペアまで登録することができます。お勧めのペア候補は画面右上の▲▼ボタンをクリックすると、自動的にペア2銘柄が順次表示され、画面右上端の「ペア検索」ボタンをクリックすると、お勧めペア候補の一覧が表示されます。▲▼ボタンのお勧めペアは、600日の標準偏差が+1.5σ以上、あるいは−1.5σ以下と、標準偏差とのカイ離が大きく、かつ300日・600日のサヤ得点(100点満点)が50点以上のペアのうち、300日のサヤ得点が65点以上のペアを、相関係数の高い順に上位30ペアまで順次表示していきます。

(「標準偏差」や「サヤ得点」「相関係数」については後述の解説をご参照下さい)


【画面左側の機能説明】

A.……ペア銘柄を5グループまで登録できます。
B.……板表示(詳細は株価ボードの欄を参照)
C.単価……単価を入力します。
D.株数……株数を入力します。
E.日付……日付を入力します。矢印キーの上下で操作。
F.単価……単価を入力します。
.……銘柄を決定した後に、クリックすると現在のグループに保存されます。5グループまで保存できます。
H.……売り か 買い を選択します。

【画面右側の機能説明】

.……現在選択中のペア情報を表示します。
.……現在選択中のペアの詳細情報です。
.……2銘柄のリアルチャート。
.……2銘柄のスプレッド推移。
.……GCお勧めペア銘柄を▲▼で表示します。
.……クリックで、ペア2銘柄の個別データとチャートが全画面で表示される全画面表示 と、通常表示 が切り替わります。
.……ペア検索ボタン




@「平均スプレッド」
「平均スプレッド」は、ペア2銘柄の売買金額の差額を期間平均したものです。ペアトレードは、この差額(サヤ/スプレッド)が拡大したところで仕掛け、縮小したところで手仕舞います。つまり、平均水準から離れたスプレッドが均衡点(平均スプレッド)に回帰するタイミングで、利益を上げることを狙います。当システムでは、平均スプレッドと前日のスプレッド、現在のスプレッドを表示します。

☆ペアトレードは売り・買いの売買金額を合わせるのが基本です。低位株と値がさ株でペアを組むと、低位株の方が価格変動性が高いため、結果として低位株に振られることが多くなります。ペアトレードの性格として、若干どちらかの銘柄の動きに影響を受けるのは止むを得ないとして、株価水準が近いもので、1対1の売買単位で執行した方が、売買のタイミングがわかりやすくなります。

A「標準偏差」
「標準偏差」は、統計値や確率変数の散らばり具合を表す代表的な数値のひとつで、中心値からの分布状況を「σ」で示します。統計学上、正規分布では平均±1σ内には68.27%、±2σ内には95.45%、±3σ内には99.73%の確率で数値は分布し、おおむね±2σの範囲内に数値は収まることとなります。当システムでは、スプレッドの標準偏差値と前日の分布位置σ、現在の分布位置σを表示します。

☆ペアトレードは、スプレッドが平均水準から離れたところで仕掛けます。つまり、±σの数値が大きければ大きいほど、平均スプレッドに向かって回帰することが予想されます。その時点が仕掛けのタイミングとなるわけです。

B「サヤ得点」
スプレッドが平均的な水準に回帰する確率が高いかどうかは、過去のスプレッドの動きが参考となります。「サヤ(分布)得点」は、このスプレッドの分布形状が正規分布(スプレッドが左右対称の釣り鐘状の度数分布となること)に近いかどうかを得点化したものです。正規分布に近い場合は、一般にその両サイドの大きく離れた値を取った後は、中心に戻ることが想定されます。正規分布は平均値に近いほど起こりうる回数が多く、平均値から離れた値を取ることは回数が少ない場合に生じます。統計的に、稀なことはそれほど多く続くことはなく、平均的な水準に回帰するとみます。分布の形が釣り鐘状に近ければ近いほど、この現象が起こる可能性が高いことを示しています。反対に、正規分布に近くないと、平均スプレッドから大きくカイ離していても、平均スプレッドに戻るかどうかの統計上の確率が低くなります。「スプレッドの度数分布が正規分布に近いこと」−−これはペアトレードに欠かせない条件です。

具体的には、サヤ得点が50点以上が、正規分布に近いペアとなります。画面右上の▲▼ボタンで示されるお勧めペア候補は、300日・600日のサヤ得点が50点以上のペアのうち、300日のサヤ得点が65点以上のペアを表示しています。

スプレッドの度数分布形状がよく、周期性のある銘柄ペア




スプレッドの度数分布形状がよく、周期性のない銘柄ペア



@ペア2銘柄の売買金額ベースのチャート推移。表示はティック、1分足、5分足の3パターンの切り替えができます。2銘柄間の売買金額の推移と、スプレッドが拡大・縮小する推移を視覚的に捉えることができるので、売買のタイミングを測るのに非常に便利です。

A2銘柄間のスプレッドをチャート化したもので、表示は同じくティック、1分足、5分足の3パターンの切り替えができます。スプレッド自体が拡大・縮小する推移を視覚的に捉えることができるので、売買のタイミングを測るのに非常に便利です。

☆「相関係数」について
相関係数を1次関数のグラフ y=α+βxで説明します。

A、B2つの銘柄の5週間前からの変化率をX軸、Y軸としてプロットします。プロットしたすべての点について、最も誤差の少なくなる直線を求め、そのαとβを求めます。仮に銘柄Aが5週間前比で3%上昇し、銘柄Bが同2%上昇すれば (3,2)に点を打ちます。同様に銘柄Aが4%下落し、銘柄Bが1%下落すれば (-4,-1)に点を打ちます。銘柄Aと銘柄Bの関係において、Aが上がればBも上がる(Aが下がればBも下がる)といった正の相関傾向が5年間にわたって強ければ、相関関係はプラスになります。AとBがある1次関数の関係に完全に従って推移をした時、相関係数は「1」となり、正反対の動きをとった時は「−1」、つまり相関係数は「−1〜1」で推移し、この値が0に近ければ、この2銘柄は関連性に乏しいと解釈できます。




相関係数1のモデル図

相関係数0のモデル図


<プロット例>

(グラフ1:傾きプラス、切片プラスの直線)

(グラフ2:傾きプラス、切片マイナスの直線)

(グラフ3:傾きマイナス、切片プラスの直線)

(グラフ4:傾きマイナス、切片マイナスの直線)


☆β値は表示の銘柄に対する個別銘柄の弾性値であり、表示銘柄に対する値動きの大きさを示します。弾性値は株価の上昇と下落のバネの大きさを示したもの。弾性値が1.00以上の銘柄は表示銘柄に対し「値動きの大きい」銘柄で、1.00以下は「値動きの小さい」銘柄となります(α値、β値は「ヘッジトレード」の章で再度解説します)。