今回は、チャートを半年間追いかけながら、最適化売買サインをチェックしてみましょう。例として挙げる銘柄は「4204 積水化学工業」です。この銘柄をあなたが昨年10月から注目銘柄として挙げていることを想定して、売買シミュレーションを行いましょう。今回は、中長期投資を想定し、週足チャートで分析を行います。
まず、2010年10月に2010年２回目の最適化売買サインの見直しを行いました。この時の周期は、27週、平均８週でした。見直しが行われた直後、すなわち10月の３本目のローソク足で、B（買い）サインが点灯しました。そこで、翌週月曜日寄付き成行で買うことにします。10月25日に、526円で買いました。この銘柄の最低単位は1000銘柄ですから、買値は526円×1000銘柄＝526,000円となります。では、ここからこの銘柄を保有します。
ここでは、中長期投資ということですから、半年くらい保有していることをイメージしてください。買った時は、その銘柄に対する思い入れも強く、１日１日が長く感じ、早くリターンが得られないかと思うものです。しかし、ここはじっくりと構えることも大切です。株価は順調に右肩上がりで上昇を続けていますね。12月末に一旦押すものの、最適化売買サインはS（売り）サインを点灯しません。ですから持ち続けるということになります。そして2011年を迎えます。また株価が順調な右肩上がりを続けましたね。どんどん上がって行くので、チャートを見ているのも楽しいものです。
さて、2月に入り、650円あたりで株価の動きが止まりました。さて、この後どのようになっていくのでしょうか。先行きが気になるところに、３月11日の震災です。震災翌週は、一時100円ほど下げ、これまで地道に買ってきたリターンが一気に消えた気がしました。ですが、まだ最適化売買サインはS（売り）サインを点灯していません。ですから、持ち続けるのです。そうしたところ、ようやく3月の4本目のローソク足で、売りサインが点灯しました。これは、３月28日に寄り付き成行で売却するという合図です。売却値は、665円となりました。665円×1000株＝665,000円となります。売り値665,000円−買値526,000円＝139,000円のリターンとなります。およそ５カ月の保有で、139,000円のリターンになったというわけです（手数料などは考慮しないものとします）。
１本１本ローソク足を追いかけながらシミュレーションしたため、売買サインを用いた投資をイメージすることができたのではないでしょうか。最適化売買サインは、最安値と最高値を狙って売買するものではありません。ですから、少し安値や高値から外れてサインを点灯します。そのため、少し遅くサインが点灯するようにも感じられるかもしれません。しかし、このように何もしないで確実にリターンを得られるという魅力は大きいのではないでしょうか。もちろん、株価の値動きを見て一喜一憂し、サインが点灯する前に投げ売ったりしてはいけません。もし、人間が感情だけでやっていたら、震災の大幅な下げで投げ売っていたかもしれませんね。100円以上の評価益が得られていたのに、それが一気になくなった時の私たち人間の心理といえば、冷静にはいられません。よほど度胸が据わった人でない限り、このまま下げ続けるのではないかと思い、投げ売ってしまうでしょう。しかし、最適化売買サインは冷静です。下手な人間のファンドマネージャーよりクールに行動する分だけ、リターンを得るチャンスを手にしたわけですね。
(2011/6/3更新)
